ぶらり 男3人旅 杵築(きつき)・別府

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ぶらり 男3人旅 杵築・別府(2010年6月21日〜22日)

大阪に、15年ほど前に誕生して、以来、毎月1回、勉強会や野外活動を続けている「長寿時代の市民互助組織 しあわせ村」という市民グループがある。
「長寿社会の到来を迎え、人生の黄金時代を心安らかに生きるために新しい出会いの機会を持ち、経験や知識を譲り合い、楽しい人生を送る」ことを目的にスタートしたグループだが、私も設立当初から参加していて、料理講習の折には講師を務めたりもしている。

12年前に、その会にご夫婦で参加されていた山本さんという方が、定年退職後、大分県の杵築(きつき)市に土地を買われて移住されて「田舎暮らし」をはじめられた。
その後いただいたお葉書などによると、お住まいに「自然工房 寿現夢巣(じゅげむす)」という名前をつけて、悠々自適の暮らしをされているご様子。
実際にどんな暮らしをされているのかとても興味があって、一度おうかがいしてみたいと、かねてより思っており、会の主宰者のMさんにも何度かそのようにお伝えしていた。

(2010年の)5月の「しあわせ村」の定例会が終わったあと、いつものようにMさんとKさんとの3人で飲食店でビールを飲みながらおしゃべりしているときに「杵築行き」の話が急に盛り上がって、「では、6月に行きましょうか」ということになった。
「しあわせ村」の他のメンバーの何人かにも声をかけたようだが、結局、3人で行くことになる。
Mさんは旅行や歩くことが大好きな方で、青春18きっぷなどを使って全国各地に気軽に旅にでかける「ぶらり旅」の超ベテランなので、今回の「杵築行き」のプラニングもすべておまかせする。

で、Mさんが見つけてきたのが、日本旅行の「JR限定 新幹線で行く九州 スーパーチャンス九州」の「別府温泉 杉乃井ホテル本館」 26,100円というもの。
正規料金だと、新幹線(のぞみ)を使っての大阪⇔別府の往復料金 32,880円に、ホテルの宿泊・食事料金 10,800円、計 43,680円になるところを、4割も安い「お得旅」ができることになった。
問題は、乗車する列車の日時の変更はできないので、梅雨時ゆえ天候だけが気がかりだが、そこは文字通り「運を天にまかせる」しかない。

2日間の旅程は、1日目は杵築で「寿現夢巣」を訪ねたあと、山本さんに杵築市内を車でご案内していただき、夜は、山本さんもご一緒に別府温泉でゆっくりして、2日目は山本さんの車で別府を案内していただく、というもの。
杵築は初めて、別府は高校の修学旅行で九州一周旅行に行ったときに訪れて以来だから、50年ぶりである。

ともあれ、6月21日(月)、曇り空のもと、朝8時21分に新大阪駅を出発し、小倉駅で特急ソニックに乗り換えて、別府駅より7駅手前(特急だとひと駅手間)の杵築駅にお昼の12時11分に到着する。
新幹線はともかく、小倉からの日豊本線では車窓の風景の変化を楽しみながらのおしゃべりで、男3人、のんびりとした4時間の列車の旅を満喫することができる。

JR杵築駅JR杵築駅









JR日豊本線 杵築駅。
瓦屋根に白壁という本格的な木造建築の趣のある駅舎で、杵築市が古くからの城下町であることをうかがわせる。
関連サイト:杵築市観光協会/日本唯一の「サンドイッチ型城下町」きつき


杵築駅で山本さんの出迎えを受け、山本さんの車で、さっそく「寿現夢巣」におうかがいする。
駅から車で15分ほど。小高い丘陵地の中ほどにあり、途中からは坂道を登っていくことになるが、市内中心部からもさほど離れていないので、生活するうえでの不便さはないとのこと。
それよりもなによりも、敷地の広さが300坪もあり、広々とした庭にはビワ、ヤマモモ、スモモ、ミカンなど実のなる木々がたくさん繁っていて、その奥には竹林が広がっていた。庭の一角には陶器のほか竹炭をつくる窯もあり、悠々自適の生活の一端を垣間見ることができる。ビニールハウスのなかでご夫婦で野菜を育てられ、まさに「田舎暮らし」を満喫しておられるご様子だった。

寿現夢巣寿現夢巣











「寿現夢巣」に着き、奥さんとも10数年ぶりの再会に話が弾む。

寿現夢巣 寿現夢巣

(左)2階建ての「寿現夢巣」。1階には住居のほかに、陶芸用の工房もある。
(右)大きく繁ったビワの木。ビワの木のほかに、スモモ、ヤマモモ、ミカンなど実のなる木も多く、背後には竹林が広がる。

竹酢と竹炭






「寿現夢巣」の竹林の竹を原料にしてつくる竹酢(左)と竹炭(右)。地元の「ふるさと産業館」で販売されている。

関連記事:自然工房「寿現夢巣(じゅげむす)」/竹炭 自然からの贈り物

山本さんが12年前、退職後の第二の人生を大阪を脱出しての「田舎暮らし」に決められたときに移住先として今の場所を選ばれたのは、現役時代に研修旅行で九州を訪れたときに、温暖な気候と自然の美しさに惚れ込んだことがまずひとつ。ふたつめが、入手できる土地の広さという魅力。そして、もうひとつ、地元が都会からの移住者に対して好意的だったことがあげられる。
ちなみに、山本さんがお住まいの地区は26戸だけで構成される小さな行政区となっていて、その全戸が都会からの移住者であり、住民同士の交流も盛んで、とても暮らしやすいという。
そのあたりのことは、平成19年(2007年)6月に発行された「広報きつき」の特集「田舎暮らしは杵築市で!」に詳しく書かれているので、ご興味のある方は、どうぞお読みください。
 →「広報きつき」2007(平成19)年6月号/特集「田舎暮らしは杵築市で!」
   表紙(2.61MB)本文(1ページ目)(1.82MB)本文(2ページ目)(1.91MB)
   本文(3ページ目)(1.68MB)本文(4ページ目)(1.60MB)

山本さんのお宅でお昼をごちそうになったあと、さらにゆっくりと話し込む。奥さんは、現在、グランドゴルフに熱中されていて、地域での大会に優勝するほどの腕前になられている、とのこと。
田舎暮らしの楽しみ・ご苦労・秘訣などをいろいろお聞きしているうちに、あっという間に時間がたってしまう。杵築市内めぐりはまたの日の楽しみにして、4時すぎに「寿現夢巣」をあとにして、山本さんの車で別府温泉へと向かう。杵築から別府までは20qほど。5時前に杉乃井ホテル本館に到着する。

別府温泉別府温泉









(左)杉乃井ホテルの入り口近く。あたり一帯は「別府八湯」のひとつ「観海寺温泉」で、いたるところで湯煙が高く立ち上っていた。
(右)杉乃井ホテル本館。高台の上にあり、別館の杉乃井ホテルhana最上階にある、5つの湯船が棚田式になった大展望風呂「棚湯」が売り物だ。別府湾と別府市街地の景観を一望できる。

とりあえず本館の温泉に入りにいくという3人とは別行動で、ひとり、日があるうちに界隈を1時間ばかり散策して、まちの風景を写真を納める。

観海寺温泉・薬師の湯紫陽花












(左)「観海寺・薬師の湯の由来」の立て札のあるお堂。ここからも湯が湧きだしていた。
(右)道路沿いの民家の壁際に紫陽花が咲きこぼれていた。

7時すぎからホテル本館地階のレストランで夕食をとる。夕食はバイキング形式で、オープンキッチンで提供される数々の料理の中から、お造り、寿司、ステーキ、酢豚、エビチリなどなど和洋中の料理を堪能したあと、最後にデザートとして温泉プリン、抹茶のムースなども賞味して、大満足。
レストランが9時に閉店となったので部屋に戻って、山本さんご持参の焼酎をお湯割りにして、ちびりちびりと飲みながら、四方山話に花を咲かせる。
夜10時すぎに、長い廊下を渡って、別館 hanaに行き、最上階に作られた「棚湯」にゆったりとつかり、眼下に広がる別府の市街地の夜景を見下ろす。

翌、22日(火)は、朝起きると陽が射していて、テレビの天気予報は午前・午後とも降水確率は10%。
本館地階で朝風呂に入ったあと、朝食のバイキングをゆっくりと食べて、10時すぎに出かける。

山本さんが別府で特にお気に入りの場所があるということなので、市街地の「観光」はあとにして、まずその場所に行くことにする。
別府の市街地を通り抜け、国道10号線(別大国道)に出て、別府湾を左手に見ながら、大分市に向かって、ひたすら南下すること30分あまり。高崎山のふもとに人工の砂浜が広がっており、あたり一帯が山本さんご推薦のヒーリングスポット・田の浦海浜公園だ。

田の浦海岸 田の浦海岸

高崎山 (上 左・右)田の浦ビーチ(田の浦海浜公園)。別府湾を一望することができ、遠くに別府の市街地も望むことができる。
休憩所や帆船の大型遊具などもあり、すべて無料なので、海水浴シーズン以外でも、市民の憩いの場としても人気が高いとのこと。訪れたときは海岸の砂の入れ替え工事が行われていた。
中央部にある人工島(愛称 田の浦アイル)は、立ち並ぶ椰子の木が南国ムードを漂わせていた。
(下)背後に横たわる山は高崎山。餌付けされた野生の猿の群れを身近に見ることができる高崎山自然動物園で有名。そういえば、修学旅行のときに立ち寄った記憶がかすかに残っている。

ヤマモモ ノウゼンカヅラ きのこ

(左)遊歩道のヤマモモの木が赤い実をつけていた。
(中)真夏の花・ノウゼンカヅラ(凌霄花)がすでに満開になっていた。、
(右)人工島にきれいに敷き詰められた芝生になぜか小さなきのこがビッシリと生えていた。
関連サイト:パノラマ風景写真で観光する大分県/田の浦ビーチと別大国道

海浜公園でのんびりと1時間以上すごしたあと、市街地に向かい、昼食は国道沿いの店で大分ちゃんぽんを食べる。そのあと、八幡浜航路などの乗り口がある「港駅 別府交通センター」の「大分県産品展示即売場」でお土産を買う。

別府交通センター 焼酎の甕

(左)別府観光センター(右)店頭に地元の酒造会社の名札と焼酎の甕がズラリと並べられていた。

帰りの列車の時間までまだ少し時間があったので、別府温泉郷の亀川温泉、柴石温泉、鉄輪温泉を車中から見学する。せっかく別府に来たのだからと「地獄めぐり」8か所のうち1か所だけ、車から降りて見物することにする。

海地獄記念撮影















(左)池の湯の色がコバルトブルーの海地獄
(右)海地獄を背景に記念撮影
「海地獄」をゆっくり見物して、4時前に別府駅に。山本さんからお土産に、地元の焼酎「銀座のすずめ」と山本さんお手製の「竹炭」と「竹酢」、それに庭で採った枇杷とスモモをいただく。
帰りの列車は、2日間の疲れが出て、3人ともウツラウツラしながら、8時15分に新大阪に戻り着く。

最初の予定では国東半島の磨崖仏も見にいこうとか、時間があれば湯布院まで足を延ばそうとかいう話もあったが、そういう通り一遍の「観光」ではなくて、山本さんのご案内で、広々とした別府湾を眺めながら、のんびりと過ごすという癒しの時間を満喫することができた。
山本さんご夫妻が第二の人生の地を選ぶに際してあげた条件が、「気候が温暖で、温泉と海がある場所」だったそうだが、まさにその地にふさわしい「杵築・別府」の豊かな自然と時間を味わうことができた、とてもしあわせな中年男3人旅(うち、丸1日は4人旅)であった。
山本さんご夫妻に感謝、感謝である。


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