どうすれば「人の集まる男性講座」をつくることができるか

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どうすれば「人の集まる男性講座」をつくることができるか
(NPO法人 男女共同参画ネット尼崎 会報 「参画NEWS」Vol.5(2005年9月))

シリーズ・男女共同参画社会@  “男の学び”も応援したい! 〜人の集まる男性講座〜
                      吉田清彦(フリーライター/家事としての男の料理教室主宰)

ちまたでは「2007年問題」が話題をにぎわせている。団塊の世代が大量に退職していくことによつて、日本の産業のものづくりの技術が継承されなくなるとか、労働力が不足するとか、はたまた、年金制度が維持できなくなるとか、などなど。

だが、男女共同参画の視点で見ると、もうひとつの「2007年問題」が浮かび上がってくる。「会社人間」一筋だった男性たちが大量に戻ってくることによつて、家庭や地域でさまざまなトラブルが発生するのではないか、という問題が。団塊世代の男性たちが家庭や地域にソフトランディングできるような対策が、いま、行政や企業に求められている。

男性に対する働きかけというと、女性センターなどで「男性講座」の開催が活発になりはじめたのは、私見で言うと1997年あたりからだが、99年の男女共同参画社会基本法の制定によつて、全国各地の自治体が競って「男性講座」を開催するようになる。だが、初年度はともかく、2年目、3年目となると、「定年退職後の60代、70代はそこそこ集まるが、50代以下の人がなかなか来てくれない」とか、「料理講座にはそこそこ集まるが、それ以外の講座にはなかなか人が来ない」という声がもれ聞こえはじめ、男性講座の開講そのものをあきらめるところもでてくる。

私は、95年ごろから自治体が主催する講座などで男性に「家事としての料理Jを教えていることもあつて、ここ数年、男性講座の「てこ入れ」を依頼されることが多くなっている。そのような経緯で、さまざまな「男性講座」の組み立てにかかわってきて言えることは、「男性講座に人が集まらない」のではなくて、「従来型」の「啓蒙・啓発型」の講座ではもう、人は集まらなくなっているのではないか、ということだ。

では、どのような講座なら人が多く集まるのだろうか。

ここで、実際に応募者の多かった男性講座(S市で03年に開催した「男の生き方セミナー」)の、参加者が書いた「受講の動機」をいくつか紹介しておこう。

*「日ごろ仕事に追われているので、生活を見直し、家族を振り返る機会にしたい」(40代)
*「高1と小5の子どもの父親として、自分が子どもにどう映っているのか知りたい」(50代前半)
*「近く定年。これまで企業社会だけの人生だった。この先、どう生きていけばいいのかを知りたくて」(50代後半)

91年のバブル経済の崩壊から数年の時を経て、97年ごろから企業倒産、リストラ、中高年の失業、過労死、自殺等々、男性たちの足元が大きく揺らぎはじめる。その一方で、各種調査によれば、「性別役割分業」意識にとらわれない若い世代も確実に増えはじめている。底流で変化は始まっているのだ。つまり、「男性講座」の「ニーズ(需要)」はすでに十分にある、ということができる。

では、「人の集まる男性講座」をつくるには、どのようなことが必要だろうか。

1.まず、「ターゲットを絞る」こと。ひとくちに「男性」といっても、子育て世代と、退職前世代、そして、退職後世代とでは、「ニーズ」がまったく異なる。ターゲットごとの「ニーズ」を分析して、そのターゲット層が「求めている」ものを企画・提案しなければいけない。そして、ターゲット層のライフサイクルにあった時期、曜日、時間、回数などを配慮しながら、講座を組み立てていく。

2.次に大事なのは、思わず参加したくなるような「魅力的なタイトル」を考案して、その講座の「ウリ」を明快に提示すること。講座の中身を簡潔なキャッチコピーでアピールすることが大切である。

男性は「魅力的な講座」を探し求めているのである。「魅力的」であることの中身は、「面白そう、楽しそう」と「役に立ちそう、なにかが得られそう」ということ。

さらに言うと、講座のスタイルは、「教養講座型」「啓発・啓蒙講座型」から「参加型」をへて、現在は、「自分さがし支援&参加者交流型」の時代になってきている、といえよう。参加者は講師の話を聞くことよりも、参加者同士で生活の知恵や知識や情報を交換したり、仲間づくりを行いたいと思いはじめているのである。

男性講座を考える上でさらに大切なことに、「広報」の問題がある。つまり、「女性センター」の従来の広報ルートでは、肝心の男性に情報がなかなか届かないということである。

男性講座の参加者へのアンケートによると、講座の情報は、だいたい7割の人が「市報」から得ている。ほかに「妻に言われて」というのもかなりある。

情報を男性に「いかに届けるか」ということについては、インターネットも含めてまだまだ工夫の余地がある。「ハローヮーク」や「団地の掲示板や回覧板」など、従来の「女性センター」ルートとは違った新しい広報ルートの発見・開拓が求められている。


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2000(H12)年 1999(H11)年
〜1998(H10)年

第3次男女共同参画基本計画
  (2010年12月17日閣議決定)

男性問題を考える上での諸概念
「男性講座」の沿革(“マーケット”の推移)
男女共同参画社会をうながす社会・経済的な背景
充実した人生のために必要なもの

「人が集まる男性講座の作り方〜男たちは何を求めているのか〜」テキスト初版(2003年版)

男女共同参画・男の生き方・吉田清彦論稿集
「がんばらない生き方のすすめ〜会社人間から生活人間へ〜」(鳥取県男女共同参画センター「よりん彩」第23号 2007.3)
「2007年問題」ってご存知ですか?(摂津市立男女共同参画センター・ウィズせっつ情報誌「ウィズレポート」Vol.14(2005年3月))
「男はもっと生活力を、女はもっと経済力を」(兵庫県男女共同参画審議会 第2期委員公募原稿 2004.8)
「とかく世間というものは――「世間」考現学」(「それいゆ」 1984.12)(3.60MB)

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吉田清彦プロフィール(各種講座講師実績豊富)
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